SAC埼玉 「思い出の音風景」

音には「色も香もある」。サウンドスケープ=音風景の基本概念です。
今までの人生で出会ってきた風景の中で、とびっきりの音に包まれた『耳御馳走の体験』を各団体から皆様にお裾分けします。

●でん舎
「埼玉スタジアム2002」の浦和レッズ戦。野太く響くサポーターの声は圧巻です。
とくに優勝タイトルのかかった試合前の「ビジュアル(客席を使った壮大な絵文字)」と6万人の声が一体になる瞬間はぞくぞくっとします。
コロナが落ち着いたら一度ぜひスタジアムに足を運んでみてください。

改田 雅典

●望ノ社
秋の鈴虫の音でしょうか。
実家が栃木で、夏の昼はセミ、夜は蛙の大合唱ですが、秋になると夜は鈴虫の鳴く音に変わります。
蛙やセミの合唱に比べると響きが美しく、儚い感じもあり、子ども心に秋のさみしさを感じていたなあと思います。

矢内 世里

●クラウンパラダイス
山形県大石田の花火大会 「初孫誕生おめでとう」ヒュー バーン!
そして、シーン。しばらくの闇。
「〇〇さん、百歳お誕生日おめでとう」ヒュー バーン!
シーン。しばらくの闇。
「お父さん、お母さん、金婚式おめでとう」ヒュー バーン!
・・・こんな感じで2時間。
30年前の大石田の花火大会の様子。
ひょっとしたら、日本一暗闇時間の長い花火大会だったかもね。

TOTTA

●グレゴの音楽一座
タイランドのサメット島の波の音と風の音、虫の声。
広い空と、果てしない海を眺めながら、中世古楽器ハープで作曲しました。
ゆったりと貴重な数ヶ月を過ごしました。世にも美しい風景でした。
その時生まれた曲は、『Mazja』(CD)に入っています。

グレゴ

●劇団鳥獣戯画
子どもの頃、まだ、たまに蒸気機関車が走っていました。線路のわきの畑で、遊んでいると聴こえてくる列車の響き。
手を振ると振り返してくれる乗客。
京都市太秦一ノ井町の思い出です。

石丸 有里子

●PAC 汎マイム工房
私共パントマイムの世界では、無言、無対象が基本の表現方法となっております。
音が無く、物のない世界。表現の世界では、音なし、無音の世界を作り出す為に水滴の音、風の音等を利用して具体化しようとします。
風景の無い世界、つまり闇の世界も舞台を闇にするわけではなく、照明的に言いますと、86番パーロク、87番パーナナのゼラチンで闇を演出します。
現代、闇の世界、無音の世界に出会う事はほとんどありません。街燈、遠くのマンションの窓明かり。星明り、月明かりさえ意識する事が少なくなりました。
闇夜はどこに行ったのか。
私の子供の頃の信州の裏山はあったのです。自分の手元も見えない闇の草むら、足音さえ聞こえない藪の中。
宙に浮いていると思える自分、だったか。
不確かながら無音と、闇を経験しなくなって随分と久しくなりました。                                  
    
あらい汎

●CAN青芸
足立区千住3丁目 60年以上前住んでいたところです。
日光街道の宿場町千住宿。
日活、東宝、東映、大映、ミリオン座。
金物屋、煙草屋、ベーカリー、乾物屋、提燈屋、八百屋、肉屋、酒屋、銭湯、蕎麦屋、寿司屋、駄菓子屋、石屋、果物屋、豆腐屋、傘屋、履物屋、時計屋、まだまだ・・・
喧嘩神輿、こども神輿、祭囃子、路地、路地、路地。
家の前の黒塀の建物からは三味の音が。
今でも夢に出てくる原風景です。

新妻 嗣二

●社音研/文化センターボックス
幼少の頃から、親父の仕事にくっついて特に西日本を渉り歩いていました。
お陰で幼稚園3つくらい、小学校も延べ6つ経験。
結果・・とっても人見知りの坊やが出来上がりました。
やっと京都にもどってきたのが6年生。その前は九州の大分県。それぞれの地方にはそれぞれの言葉使いがありますが、あらためて京ことばに接した時に、女の子たちの「はんなり」とした声の響きに身体がとろけそうになりました。
まあ、古都の「おなご衆(おなごし)」のやわらかな言葉の裏に潜む、したたかな「たくらみ」に気が付くにはまだまだ幼かったのかもしれませんが・・・
あの時の快感をもう一度味わいたくて、いまだに声に関わる仕事をしています。

牧野 俊浩

SAC

Posted by sacsaitama